睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう状態が睡眠時無呼吸症候群(以下SAS: Sleep Apnea Syndrome)です。10秒以上息が止まる状態を無呼吸と言い、睡眠中の1時間あたり5回以上無呼吸がカウントされる場合に診断されます。
発症の原因は主に2つあります。ひとつは空気の通り道である気道(上気道)が、肥満による首回りの脂肪、鼻づまり、口蓋扁桃やアデノイド肥大、舌の巨大化、小顎などによって、狭窄することで生じる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下OSAS: Obstuctive Sleep Apnea Syndrome)です。もうひとつは、呼吸中枢に異常がみられることで呼吸の指令が出なくなることで生じる中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS: Central Sleep Apnea Syndrome)です。全SAS患者さんの9割近くの方が前者のOSASタイプと言われています。
当院院長は、東邦大学医療センター大橋病院在籍時に睡眠時無呼吸症候群の専門外来に従事しておりました。多くの睡眠時無呼吸症候群患者の診察、検査、診断、治療導入を行い、外来指導を行っておりました。その経験を基軸にしたクリニック診療を行っております。
検査について
上記の症状と診察により、SASが疑われた場合、まず簡易睡眠検査を行います。検査はレンタルにて自宅で行えます。結果により睡眠時無呼吸症候群を指摘された場合は、原則精密検査として 終夜睡眠ポリソムノグラフィ(Polysomnography: PSG)が必要です。
終夜睡眠ポリソムノグラフィ(Polysomnography: PSG)とは
体に様々なセンサーを取り付け、睡眠中の脳波、呼吸状態、心電図、動脈血酸素飽和度などの生体活動を一晩にわたって測定する検査です。睡眠障害の有無、重症度の正確な診断、さらに不整脈など合併症の検索も可能です。
病院に1泊入院検査が一般的ではありますが、入院費用や日程調整など患者さんの負担が大きいのが欠点です。
その点を踏まえて、
当院ではできるだけ負担を軽減するために、PSG検査が必要と判断された場合は、ご自宅で行える在宅PSG検査も手配、実施をいたします。
治療について
SASの患者様の治療ですが、全ての方に生活習慣の改善(体重減量や睡眠薬の減量など)を指導します。軽症~中等症と判定された場合は、オリジナルのマウスピースを作製し、治療を行う場合があります。
そして、重症と判定された患者さんに関しては、CPAP療法が行われます。これは、鼻マスクを通じて加圧された空気が送り込まれる装置が貸し出され、睡眠時に鼻マスクを装着し、加圧された空気を鼻内から気道に送り込む治療法です。睡眠中に気道が閉塞される状況を回避させるようになります。なお、CPAPでの治療の間は一定の間隔を空けて通院加療を継続します。
このほか手術療法として、著しい口蓋扁桃肥大(あるいはアデノイド肥大)があれば、扁桃の摘出(及びアデノイド切除術)や、さらに咽頭腔を拡げるために口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)などの外科的治療が検討されることもあります。